高品質遅延故障テストのためのテストパターン選択法ならびにシード選択法に関する研究

竹谷 啓 (0851066)


近年,VLSIの高集積化・高速化により,微小な遅延を引き起こす欠陥が増加し, 微小遅延故障を考慮した遅延テスト手法が提案されている. しかし,微小遅延故障を考慮したテスト生成では,生成されるテストパターン数が膨大となり, テスト時間やテストデータ量が制限される場合に高品質な遅延テストが困難となる. 本論文ではまず,テストパターン数制約下で高品質な遅延テストを実現するテストパターン順序付け法を提案し, 部分テストパターン選択問題を解く.また,出荷後のフィールド使用時における劣化も重大な問題となっている. 劣化による遅延を検出する方法として組込み自己テストを用いたフィールドテストが挙げられる. しかし,フィールドテストでは,製造テストに対し,テストデータ量がさらに制限されるため, 限られたテストデータ量で高いテスト品質を得る遅延テスト手法が必要となる. そこで,先に提案するテストパターン順序付け法を拡張し,フィールドテストで用いる組込み自己テスト環境下において, テストデータ量制約下で高品質な遅延テストを実現するためのシード選択法を提案する. テスト品質として統計的遅延品質指標(SDQL)を採用し,ITC'99ベンチマークに対する評価実験では, 2つの手法が実用的な時間で高いテスト品質を効率良く得られることを示す.