群衆コミュニケーションのためのヴィジュアルインタフェース
瀧寛文 (0851062)
オンラインコミュニケーション手段の高度化と多様化に伴い,共通した興味や関心を抱く不特定多数のユーザ集団が活発にコミュニケーションをおこなう機会が増加している.
しかしながら,集団の特徴や性質,あるいは,集団内でおこなわれるコミュニケーションの特徴を十分に考慮したインタフェースが利用されているとは言い難い現状にある.
本研究では,現実空間における群衆および群衆行動の特徴と共通点の多いこれらのユーザ集団間のコミュニケーションを,社会心理学の知見に基づき群衆コミュニケーションと定義し,群衆コミュニケーションのための新たなインタフェースCICROを提案する.
CICROは,1)ユーザが意見の関連性を直感的に理解できる,2)ユーザが群衆の規模を直感的に把握できる,3)群衆コミュニケーションに参加する際にユーザが必要となる時間を短縮できる,という3つの要件を満たすインタフェースである.
本論文では,CICROの有用性を確かめるために2種類の評価実験をおこなった.群衆コミュニケーションを想定した評価実験では,定義した3つの要件が満たされることを確認した.
また,既存のコミュニケーションインタフェースである電子掲示板との比較実験をおこなった結果,CICROを用いてコミュニケーションをおこなった方が,電子掲示板を用いてコミュニケーションをおこなったよりも発言数が多くなることが確認できた.