付箋は一時的な予定の管理やメモ書きとして日常的に活用されているアイテムであり,近年その直観性・操作性を模倣したPC 上で動作する電子的な付箋アプリケーションやシステムが開発されている.電子的な付箋システムは,従来の紙媒体の付箋にある「紙にペンで書ける内容などの,限られた情報の記録をすることにとどまる」という点に対し,マルチメディアに対応できる利点がある一方,ユーザインタフェースの面で一覧性や直観性が紙媒体に比べ劣るものが多い.そこで本研究では,電子的な付箋の利点である文字・画像・音声・動画・URL などのマルチメディアへの対応と,紙媒体の付箋の利点である一覧性や直観的な操作感を,拡張現実感(AR)を用いて融合するシステムを構築する.マルチメディア情報の管理はブログシステムを採用することにより,閲覧・編集を簡単に行えるようにし,紙の付箋にマーカとしてQR コードを描くことで,ブログデータベースへのアクセスを容易にする.このシステムにより,ユーザは紙媒体の付箋と同じように実環境に付箋を貼ることができ,カメラ付きモバイルPC を通し,実環境上に重畳表示されたマルチメディア情報を閲覧・編集することで,文字・画像・音声・動画・URL などを用いて効率的にメモを残すことが可能となる.実験により構築した提案システムの有用性を分析し,考察したユーザインタフェースの課題及び改善案を発表する.