高空間分解能定量SPECT画像再構成法の開発と物理ファントムによる評価

崎本 智則 (0851051)


 核医学イメージング装置の一種である SPECT(single photon emission computed tomography)では, 被写体内でのγ線の吸収および散乱によって,定量性が損なわれる.また, コリメータの開口によって空間分解能が低下する. Sohlbergらは,定量を保証し,さらに高空間分解能な画像を得ることができる 画像再構成法の実用化を目指し,吸収補正, モンテカルロ法を用いた散乱線補正に加え,コリメータ開口補正を搭載した 画像再構成法を開発した.
 本研究では,まず,Sohlbergらにより開発された画像再構成法の定量精度を検証するため, 核種にTc-99mを用いた一連のファントム実験を行った. ピラミッドファントム,偏心リングファントムを用いて 濃度一様性の評価,2D脳ファントムを用いて放射能濃度比例性の評価および コリメータ開口補正による部分容積効果改善の評価, 3D脳ファントムを用いてコリメータ開口補正による 統計雑音抑制効果の評価および再構成画像の視覚的評価を行った. 実験の結果,本手法の吸収補正と散乱線補正の妥当性が確認できた. コリメータ開口補正は部分容積効果を抑制したただけでなく, 統計雑音抑制効果もあり,この統計雑音抑制効果が本再構成法の大きな利点と考えられた. ただしコリメータ開口補正を用いても,微細な構造は復元できなかった. また,強い画素値のエッジがある領域では, Gibbs-like artifactが確認された.このことより,コリメータ開口補正を行った場合, 強いエッジ付近での定量性は担保されないと考えられ,注意が必要である.
 次に,実際の臨床SPECT検査で多く用いられるI-123標識薬剤においても,高空間分解能な定量画像の 提供を実現するため,核種にI-123を用いた時に問題となる septal penetrationに対するconvolution subtractionに基づく補正法を開発し,Sohlbergらにより開発された画像再構成法と組み合わせた. この提案法による定量精度を検証するため,核種にI-123を用いた一連のファントム実験を行った. 実験の結果,提案したseptal penetration補正法を用いることにより, 核種にI-123を用いた時も,Tc-99mを用いた場合と同様の定量性を 得られることが確認できた.
 以上の結果より,Sohlbergらにより開発された高空間分解能定量SPECT画像再構成法および, 新たに開発したI-123におけるseptal penetration除去法の有用性が示唆された. 本手法は局所領域を対象とした定量SPECT検査への貢献が期待される.