交差点映像の協調撮影と共有を目的とした車車間通信プロトコルの提案と評価

小谷和也 (0851043)


本発表では,ドライバに交差点の状況を効果的に把握させるために,交差点内の車両が撮影した映像を車車間通信で交換し,それぞれの車両で交差点鳥瞰映像を合成してリアルタイムで提示するアプリケーションについて発表する. 交差点の全ての車両に映像を送信させると無線通信帯域を浪費するため,交差点の複数車両の中から合成元となる映像を送信する車両を選定する手法を提案する. 提案手法では,まず,交差点内にいる各車両が,それぞれの撮影している交差点の領域,映像品質,各車両の速度や向きに関する情報を車車間通信で交換し共有する. それらの情報から交差点付近にいる各車両が,全車両について,映像を送信する優先度を計算する. 優先度は,要求されている格子領域を高品質で撮影している車両に高い値を与える. そして,各進行方向で優先度が高い車両を選択する. 各車両は他車両と優先度を比較し,映像を送信するかどうかの判断を自律的に行う. 提案手法の評価を行うため,ネットワークシミュレータQualNetにて実際の交差点環境を再現し,シミュレーション実験を行った. シミュレーション実験では提案手法で用いる優先度を算出する関数を決定するための予備実験,また提案手法が選定した車両が要求に応じた高品質な映像を送信出来ているかを評価するための評価実験を行った. 予備実験では,映像を送信する優先度を決めるための複数の優先項目に対して,重みを変化させ実験を行い,優先度を算出する関数を決定した. そして,送信車両の選定手法の評価実験では,現実に近い環境での性能を評価するために,車間距離が5〜10[m],10〜20[m],20[m]以上という3種類の車両密度を用いて, 通信機器の搭載率100¥%,60¥%,30¥%の場合それぞれについて実験を行った. その結果,提案手法では車間距離が10[m]以内であるような比較的高い車両密度で,通信機器を60¥%以上の車両が搭載している環境で,要求に応じた高品質な映像を送信できていることを確認した.