ノックを用いたパンチルトプロジェクタの投影制御

小出 洋資(0851041)


 現実環境とコンピュータグラフィクスなど仮想の情報を重畳表示しアノテーションなどを提示する拡張現実感(Augmented Reality:AR)に関する研究がなされている. ARにおける情報提示手法は,カメラで得られた環境の映像に対して重畳表示を行う手法と,環境そのものに対して重畳表示を行う手法の二つに分けられる.前者はヘッドマウントディスプレイや携帯端末などで,個人に向けた情報提示に適しており,後者はプロジェクタを用いており,複数人に向けた情報提示に適している.プロジェクタは実物体に直接投影できるので固定プロジェクタを用いたアノテーション付加や展示などに利用されている.
 本研究では,実際の商品プレゼンテーションや美術館における展示物の説明など,実物を用いたプレゼンテーションをプロジェクタベースのAR技術により支援するシステムの構築を行う. 投影面を移動させることができるムービングプロジェクタとノックを検知して位置を検出できるセンサを用いたアノテーション付加システムを構築する.ムービングプロジェクタにより広域をカバーし,ノックによる位置検出装置を用いることで遮蔽に強く,立体物にも使用可能となる. 本論文ではこのシステムを構築し,性能の評価実験を行った.