金属やガラス基板上にマイクロオーダー幅のチャネル(流路)を形成し、そのチャネル内で化学反応を行うマイクロリアクタは、生産効率・高付加価値製品生産等の面で従来の化学プロセスに比べ大きな優位性がある。しかし、微細な流路を有するマイクロリアクタでは、チャネル壁の腐食・粒子の堆積等により閉塞が発生する可能性が高い。閉塞が発生してしまうと反応流体のチャネル内部における滞留時間にばらつきが生じ、製品品質に大きな影響が及ぶ。このため、マイクロリアクタを長期的に連続運転する際の課題の1つとして、チャネル閉塞診断手法の開発が挙げられる。
本研究では、マイクロリアクタに設置された圧力センサから得た情報に基づき、二か所の閉塞チャネルを検出する手法を提案する。閉塞チャネルの検出のためのデータベース構築用データとして、1チャネル閉塞時の圧力分布データしか用いないため、データベースの構築に必要なデータ数はチャネル数に対して線形にしか増えない。実プロセスの代用として、モデル化したマイクロリアクタのCFD解析を利用し提案手法を検証したところ、2ケ所で閉塞が生じた場合にも閉塞場所を特定できることを確認した。本発表では、この検証結果について報告する。