ボリュームレンダリングにおける表面下散乱モデルの開発

京村 俊宏(0851035)


近年,画像処理分野などにおいて肌や皮膚の色彩・質感についての研究が多くなされている.物質の質感を再現するには光の散乱を物理法則に基づいてシミュレーションする必要がある. 物質に照射された光は物質に入射し、内部で散乱した後に入射した位置とは別に様々な位置から出射していく。この散乱現象を表面下散乱と呼び、肌や臓器といった半透明な質感を生み出す。 また表面下散乱の影響により、肌の内部血管の走行の様子なども確認することができる. 三次元医用画像のボリュームレンダリングは診断や術前計画において広く利用されているが,臓器や肌の質感が十分に表現された像が生成されているとは言えない. 表面下散乱の影響を考慮に入れることで肌や臓器の半透明な質感そのものを再現するだけではなく物質の内部の情報も可視化することができる. 本研究では,肌や臓器が持つ半透明な質感を再現するために表面下散乱を反映したボリュームレンダリング法の開発を目的とする. 特に,生体組織が持つ前方散乱の特性を利用し,スライスベースで光の減衰をモデル化することによって計算量を抑えたレンダリングを達成する. 本発表では提案モデルの概要と、幾つかのサンプルデータを用いて提案モデルを適用することにより物質に入射した光が減衰する様子を示す。