ソフトウェア開発における成果物の編集頻度に着目した開発履歴可視化手法

奥村 哲也 (0851022)


ソフトウェア開発におけるユーザ・ベンダ間の意識のずれは,設計ミスや仕様変更を招く原因であるとされる.従来のソフトウェア開発では,ユーザが要件定義などの上流工程から開発をベンダに任せきりであるケースが多く,そのためにユーザ・ベンダ間の意識のずれが様々な問題を引き起こしてきた.このような事態を防ぐための手段の一つとして,ユーザ・ベンダ間で開発状況などを共有するために,ソフトウェア開発に関するデータを可視化する研究が行われてきた.しかし,既存の可視化手法では下流工程で取得できる情報の可視化に重点を置いており,ユーザの協力が重要となる上流工程への可視化の適用例は存在しなかった.

本発表では,全開発工程から共通して取得できる,成果物の編集頻度に着目した可視化手法を提案する.また,本手法の有効性を確認するために開発した可視化ツールIZMIの説明を行う.そして,IZMIにおける上流工程の可視化例とともに,それらの例が,実際の開発プロジェクトでのいくつかの失敗事例に対してどのような支援を提供できるのかを示す.また,IZMIやプロジェクトの知識がないユーザでも,戸惑うことなくプロジェクトの分析が行えることを,ユーザによる下流工程の分析実験の結果により示す.