本研究の特徴は,純粋な言語活動のBMIへの応用を目的として視野に入れ,発声しないことにより口や舌の運動に関わる脳活動をできるかぎり排除したECoGを用いることと,韻律や意味によって生じる脳活動の利用を狙い,推定の対象を音節や音素ではなく単語としたことである.
ECoG電極が設置された3名の被験者(てんかん患者)に対する2単語の黙読タスクについて,黙読した内容をオフラインでサポートベクタマシン(SVM)により推定した. 推定に際してはECoGを加工して複数の入力データを準備して電極選択を伴った推定性能比較を行ったところ最高推定性能78.6%を得た.また一部の入力データにおいては単電極での推定性能が~74.6%に達し,推定性能と非侵襲性の両立可能性がが示された.他の入力データで選択された電極の一部は事前の電気刺激テストにおいて言語に関する反応を示した電極に近い位置にあることから,被験者が黙読した際の言語関連脳活動がこれらの信号に反映されているとも示唆された.