動詞の項構造辞書を利用した事態性名詞の項同定

有木 隼人(0851003)


日本語の自然言語処理では、文の意味理解のために述語項構造解析が進んでいる。述語項構造解析は、動詞、形容詞のような行為、状態、出来事といった事態を指す述語に対して「何が」、「何を」、「何に」に当たる要素を同定する。一方で、動詞や形容詞のような用言以外に事態を指す事態性名詞が存在することが知られており、その割合は無視できないものである。そのため事態性名詞の項構造解析は文のより高度な解析のために欠かせない技術であると言える。事態性名詞の項構造解析は、事態性判別の問題と項同定の問題に分けられる。

本論文では、動詞が名詞化した事態性名詞の項構造がその動詞と類似していることを利用し、動詞の項構造辞書を用いた事態性名詞の項同定の手法を提案する。また、その失敗事例の分析を行う。