多変量解析を用いた漢方医学特有の診断法の把握

南部 羽蘭 (0751149)


漢方薬とは、約1500年前に中国から日本へと伝わり、何世代も通して独自に発展してきた、天然物である生薬を複数組み合わせて処方される薬である。また、経験則による理論に基づき、患者の病気の兆候や体質にあわせて処方されるため、慢性疾患や生活習慣病の新しい治療法として期待されている。これまでの漢方薬の薬効成分に関する研究では、主に生薬から単離された成分の研究が行われているが、漢方薬が主な薬理作用と、その補助作用をあわせ持つことや、漢方薬と単一化合物とでは効果が異なることが報告されている。従って、今後、生薬同士や構成成分の相互作用を考慮した研究が行われる必要があると考える。また、漢方医学では多因子によって生じた病態「証」を多成分系である漢方薬を用いて治療する。このため、それらを科学的に解明していくためには、多様な因子を網羅的に解析できる手法を取り入れる必要がある。本研究では、日本において標準化されている漢方薬をもとに、「証」を含む使用用途に従った診断インデックスと、漢方薬に含まれる生薬組成の関係性の体系化を多変量解析法によって行った。主成分分析を用いた解析では、生薬配合比、診断基準それぞれにおいて特徴的な漢方薬の抽出を行った。これにより、抽出された漢方と 「証」のひとつである「虚」、「実」の診断との関係性を見出すことが可能となった。また、生薬組成による「虚」、「実」の分類を行う直接的なモデル構築を行い、98.54%の精度での分類を行うことが出来た。これらの解析によって、生薬組成と診断インデックスとの関係性を示すことができた。