流行歌とテーブルトップインタフェースを用いたインフォーマルコミュニケーション支援に関する研究
山田 周平 (0751137)
会社や大学などの大規模な組織内でのコミュニケーションは,会議や上司への報告といった組織の目的を達成することを主眼としたフォーマルコミュニケーションと,雑談などの個人のプライベートな欲求の満足を主眼としたインフォーマルコミュニケーションの2つに分類することができる.組織内での人間関係は,仕事を通じて形成される以外にも,雑談や飲み会など業務以外の場でも形成されるため,組織において業務を円滑に進めるためには,2つのコミュニケーションの両方が必要となる.しかし,100人を超えるような大規模な組織の場合,自分の身近にいる人以外の人と人間関係を形成するのは容易ではない.大規模な組織に所属した経験がある人ならば,「同じ組織に所属していて,顔を見たことはあるのだが話をしたことがない人」を思い浮かべることができるのではないだろうか.大規模な組織において,まだ話をしたことがない人との会話の生起を支援する必要があると考える.
近年,インフォーマルコミュニケーションの重要性が認識され,インフォーマルコミュニケーションの支援を目的として様々な研究が行われている.その中には,同じ部屋に所属するメンバーを対象とした,小規模な組織を想定した研究も多い.
本研究では,大規模な組織に所属している人を対象として,同じ組織に所属しているが話したことのない人同士の会話の生起支援を目的として研究を行った.流行歌を用いて会話のきっかけとなる話題の提供をおこない,テーブルトップインタフェースを使用することで会話が発生しやすい環境を提供するシステムを構築した.本発表では,まずこのような研究を行った背景について説明する.その後,話したことがない人同士の会話を発生させる方法について述べる.続いて構築したシステムを紹介し,システムの評価を行った実験の結果を示す.最後に今後の展望について述べる.