複合現実感技術を用いた飛行船操縦支援システムの構築

水戸 博之 (0751118)


近年,飛行船に関する研究が行われ,教育やエンターテインメント, 趣味等の様々な用途において,無人飛行船が身近に利用されるようになった. しかし,無人飛行船を地上から見上げて操作するのは直感的でないため, 意図した通りに操縦するのは不慣れなユーザには難しく, 操縦者が直接視認できない遠隔地を飛行させる際には, 飛行船の状況を把握させるためのカメラ画像等が必要となる. そこで本研究では,無人飛行船の操縦に不慣れなユーザを対象として, その操作を複合現実感技術によって視覚的に支援するシステムを構築することを目的とする.

本システムは飛行船上のPCと俯瞰画像撮影用カメラ,そして地上のユーザ側のPCから構成され, 双方のPCではネットワークを介してデータの送受信を行う. 飛行船上のPCでは,カメラ画像と飛行船の位置・姿勢情報を取得・送信し, ユーザ側のPCでは,受信した情報を元に操縦支援情報を生成し,ユーザへ提示する. 主な操縦支援情報としては,カメラ画像をそのまま提示するだけでなく, 地図や三次元モデル等の仮想空間内にカメラ画像を重畳表示し, その空間内に現在の飛行船の状態を示すCGオブジェクトを描画する. これにより,ユーザは飛行船やその周囲の状況を直感的に把握して容易に操縦できるとともに, 遠隔地の飛行船を操縦することが可能となる. 本研究では,屋内環境においてプロトタイプシステムを構築し, 飛行船の操縦未経験者を対象に被験者実験を行い,提案システムの有効性を確認する.