倒立振子系のカメラ設置誤差に対してロバストなビジュアルフィードバック制御

水野 貴志 (0751117)


従来から画像計測の応用として, ビジュアルフィードバック制御に関する様々な研究がおこなわれている. 画像計測により複数の物理量を同時に非接触で計測可能であるため, 制御対象が移動体であったり, 小型で接触型のセンサが取り付けにくい, また, 遠隔地にあるなどの場合には有効な制御方式である.

このビジュアルフィードバック制御に関する重要な要素技術として, カメラキャリブレーションがある. 画像計測では, レンズ収差や, カメラ光軸と計測平面法線ベクトルとのずれが原因で, 画像に同心円状の歪みや, 台形状の歪みが生じる場合がある. ビジュアルフィードバックでは, この画像歪みから生じる計測誤差は大きな問題となり , 歪みを補正するために適切なキャリブレーションを行う必要がある. しかし, 台形状の画像歪みに関しては, カメラと観測対称の相対位置が変わる度に補正し直さなればならず, 多大な労力を要する.

そこで本発表では, 倒立振子系の安定化制御を例にとり, カメラ設置誤差に対してロバストなビジュアルフィードバック制御を 提案する. 具体的には, 設置誤差の影響が制御対象の状態空間モデルに対する アファイン摂動として表現できることを示し, 関連するBMIを 解くことで, 摂動を持つプラントを安定化する動的出力フィードバックコントローラを 設計する. さらに, 制御入力の飽和を抑えられるよう制御性能を取り入れることで, 歪みの影響に対するロバスト性を向上させる. 提案手法の有用性を数値シミュレーションと実機実験により検証する.