距離情報に基づく水中画像の輝度補正
眞鍋和寛(0751115)
近年,遺物や遺跡等,文化財のデジタルアーカイブが推進されており,その対象は水中にも存在している.
アーカイブにより得られた情報は保存だけでなく,文化財の修復用途,考古学的研究等に活用されるため,幾何学的情報とともに表面の色や反射率等の光学的情報を計測する事が望まれる.
しかし,水中で撮影された画像は,散乱や吸収の影響で光の強度が変化するため,同じ対象を空気中で観測した場合とは違う画素値として観測される.
本研究では,水中物体をデジタルアーカイブする際に得られた距離情報を用いて,同時に計測されたテクスチャ画像を空気中の観測画素値に補正する手法を提案する.
本手法では光源環境と物体表面の反射率,奥行き,そして媒質の性質を表す散乱係数,減衰係数を入力として,観測される画素値を算出する減衰モデルを用いる.
まず,媒質中で反射率が既知のマーカを計測し,減衰モデルで算出した画素値と観測された画素値が一致するように散乱係数と減衰係数を最適化する.
次に,補正するテクスチャ画像と上記係数から対象物の反射率を算出し,画像を補正する.
実験では,想定する計測環境を模した水槽中で対象物を計測し,空気中に近い画素値に補正されることを確認した.