対称HOG特徴による対称物体の効率的な認識

前田 祐輔 (0751108)


従来の局所領域を用いた物体認識では,認識対象か否かという情報しか与えずに学習を行っており,精度の高い認 識を行うには,認識に有効な局所領域の特徴を得るために学習データが大量に必要となる.学習した特徴のうち認 識に有効な特徴は特徴が対称となっている部分が大半を占めている.そこで認識対象の幾何学的特徴(対称性)を利 用し,認識に有効となりうる特徴をあらかじめ絞り込むことで,学習の効率化を図る.

我々の身の回りの人工構造物は対称性を持っていることが多く,対称性と物体の見えを効率良く表現することで, 物体認識の効率化・高精度化が期待される.本研究ではそのための特徴量として対称HOG特徴を提案する.対称HOG 特徴は,ある軸に対して対称な関係にある局所領域の組を,局所領域の勾配方向をヒストグラム化した特徴量であ るHOG特徴と組み合わせて表現したものである.対称HOG特徴とAdaBoostを組み合わせることで学習に必要なデータ 数および学習時間の削減をする.

提案手法の妥当性を評価するため,学習データに対する認識率の変化を従来手法と比較し,少量の学習データで高 精度な認識が行われていることを確認する.また提案手法と従来手法の学習時間について比較を行い,従来手法よ りも短時間で学習が行えることを確認する.