マージン最大化行列因子化法を基とした行列因子化法の提案と欠測予測

古谷 允宏 (0751104)


行列形の統計データのモデリングに対して,低ランク近似を用いた行列の因子化が基本手法として知られており,それを基に様々な手法が提案されている.
近年,Srebroら(2005)によって,2値やレート値などの離散値を要素とする観測 行列に対して有効な手法として,マージン最大化行列因子化法(MMMF)が提案され た.これはヒンジ誤差を用いた罰則化項と,行列のトレースノルムを用いた正則 化項に特徴があり,ランクを明に制限せず近似を行う.

本発表ではMMMFを基に2種の行列因子化法,重みつきマージン最大化行列因子 化法(WMMMF)と確率的マージン最大化行列因子化法(PMMMF)を提案する.
WMMMFは各要素ごとのモデリングにおける重要さを表す重みを新たに導入した MMMFであり,重みを適した値に調節することで,更なる汎化性能の向上が期待で きる. PMMMFはMMMFの確率モデルとしての解釈を行ったものである.さらに事前分布として関連度自動決定(ARD)事 前分布を用い,事後確率最大化推定の枠組みで定式化を行う.これにより,正則 化係数だけでなく,因子行列のランクに関しても自動決定が可能になり汎化性 能の向上が期待される.

実データを用いて欠測予測課題を行い,先行研究と提案手法の汎化性能を比較し,その違いについて述べる.