眼筋モデルを用いた視線方向に基づく眼瞼アニメーションの生成
原田 甫 (0751096)
映画,ゲームなどのアプリケーションにおける顔表情のアニメーションでは,
目周辺の表現がその写実性に大きく関与するため重要である.眼球運動と眼瞼の
変形は眼筋を介して連動しているが,従来これらの動きは独立に扱われていたた
め,生成される顔表情に違和感が生じる問題があった.
本研究は眼筋モデルにより視線方向に応じて眼瞼形状が変形する写実性の高
い顔表情アニメーションを生成することを目的とする.眼瞼部の変形のために,
筋肉パラメータと呼ばれる筋力の強度を入力とし,筋力周辺の変形を出力とする
Waters の線形筋モデルを拡張し,眼筋構造に即した眼筋モデルを構築する.線形
筋モデルは影響範囲内にあるすべての頂点が同一方向に変位するが,眼筋モデル
は眼瞼内に存在する眼瞼板によって,形状をある程度保持した状態で変形すると
いう特性を考慮し,頂点の座標によって変位方向を変化させる.眼球の回転角と
眼瞼部上の特徴点の変位量を関連付け,視線方向を入力とした眼瞼部のアニメー
ションを自動生成する.本論文では,提案手法を用いた実験を行い,眼筋モデル
を用いた視線方向と眼瞼の連動が顔表情アニメーションの写実性の向上に有効で
あることを確認した.