OFDM方式におけるピーク電力削減手法の評価に関する研究

野口知宏 (0751087)


OFDM(直交周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式は複数の信号を多重し並列伝送を行う方式であり周波数利用効率に優れている特長をもつ反面、高いピーク電力をもつ問題が挙げられる。評価指標としてPAPR(ピーク対平均電力比:Peak to Average Power Ratio)が用いられており、それを低く抑える研究が広く検討されている。 しかしながら、PAPRを低く抑えることだけが実際の通信システムに適用する場合において全ての問題解決になるかどうかの考慮がなされていない。 そこで本研究では、OFDM方式を実際の通信システムに適用する場合に生じる、非線形歪みの影響や帯域外輻射を考慮に入れた評価指標であるEfficient PAPRを提案する。その評価指標の有効性を示すためにピーク電力を削減する技術であるCI(Carrier Interferometry)符号と、繰り返し処理によるクリッピングを用いてOFDM方式における計算機シミュレーションを行うことにする。その中で非線形増幅器のバックオフを無線LANの環境下で最適化を行った場合とPAPRと同じ値に設定した場合において、全体の劣化量が最も小さくなる時のPAPRを求める。その結果、従来より用いられているただ単純にPAPRを削減する評価法と比べて、今回提案する評価法であるEfficient PAPRを用いることでより最適なPAPRを見つけれることが分かった。