仮想計算機環境での性能評価の信頼性を向上する一手法の提案
永海 好隆 (0751086)
計算機性能の向上と資源の余剰発生により,サーバ統合に対する注目が高まっている.サーバ統合において期待されている技術として仮想計算機技術があり,仮想計算機により提供される処理性能を計測する要求がある.
計算機の性能計測に重要な要素として,負荷処理と処理時間という二つの要素がある.この二つの要素のうち負荷処理に関してはツールで一定の処理を与えることが可能である.しかし,仮想計算機では時刻の精度が低いため処理時間を正確に計測できない.
本研究ではまず,実計算機の時刻を基準とし,仮想計算機における時刻の推移を観測した.その結果,仮想計算機環境では実計算機と比べ時刻進度の揺らぎが大きくなることが分かった.これを改善するため,既存の計算機時刻補正の方法を複数試行したが,仮想計算機内部の時刻精度の向上は不可能であった.
次に,性能計測に必要な時刻を外部実時刻を基準に補正して提供する手法を提案した.ここでは,仮想計算機の時刻推移を常時観測し,性能計測が要求する時刻から実時刻を推定し提供することによって,性能計測に使用される時刻の揺らぎを小さくする.この提案手法を用いることによって,仮想計算機上での性能計測に使用する時刻の揺らぎが補正できることを確認した.さらにマイクロベンチマークを試作し,そこでも信頼性の向上が可能であることを評価した.