オーバレイネットワーク構築のためのネットワークトポロジ情報提供機構に関する研究

藤樫 淳平 (0751082)


P2P型CDNはコンテンツ配信元ノードの負荷の低減を実現し,コンテンツプロバイダのコストの削減に効果的である. しかしP2Pアプリケーションによって構築されたオーバレイネットワークと, 実際にトラフィックが流れるアンダーレイネットワークの間には齟齬が存在し, 非効率な隣接ノードの選択によって長距離に渡る余分なトラフィックを発生させているという問題が存在する. 余分なトラフィックが増加すると,トランジット回線の使用料や設備の増強費用などISPが負担するコストも増加する. P2Pアプリケーションがアンダーレイネットワークへ与える影響を考慮してオーバレイネットワークを構築するのがISPにとって望ましい.

本研究では,ISPがディレクトリサーバを設置し, P2Pアプリケーションに依存しない手続きによってネットワークトポロジ情報を提供することを提案する. 提案システムを利用して同一ネットワーク内から優先的に隣接ノードを選択することで, 長距離に渡る余分なトラフィックを抑制し,ISPが負担するコストを削減することができる. 本論文では,現状の問題について調査・整理し,提案システムの設計・実装を行う. さらに提案システムをBitTorrentに適用して実験による評価を行い, 展開の際に生じるコストと解決すべき課題について議論する.