ボルツマンマシンとセミマルコフモデルを用いた音楽の和声推定

寺村 佳子(0751080)


近年、楽曲検索・推薦技術において音楽的特徴を考慮したモデルが提案されている。 この音楽的特徴の中でも和声は重要な要素のひとつである。 この和声を推定する従来研究では和声が与えられたときの音の出現確率と和声の状態遷移確率を組み合わせたマルコフモデルとして表現する手法が提案されてきたが、従来のマルコフモデルは同じ和声が継続するときの継続長や同時に鳴る音の相関を適切に表現することができなかった。

そこで本研究ではこれらの課題点を踏まえ、和声の状態遷移確率にセミマルコフモデルを導入し音の出現確率は音の同時発音の相関を表現できるLogistic Normal Distribution(LND)、そしてボルツマンマシンを用いた手法を提案する。 この提案モデルをそれぞれ実装し実験を行った結果、音の出現確率、和声の状態遷移確率ともにより正確に表現されることがわかった。 さらにこれらの組み合わせによるダイナミカルモデルを用いたことで和声の推定精度を向上させることができた。