拡張現実感のための高速度カメラを用いたテクスチャー・トラッキング手法のロバスト性の向上

田村 亮輔 (075078)


近年,現実環境の映像にCGなどの情報を付加して表示する拡張現実感(Augmented Reality;AR)の研究が盛んに行われている. 拡張現実感を実現する上で,現実環境と仮想環境との位置合わせは非常に重要な問題であり,これまでに様々な研究が行われてきた. 自然特徴点を人工マーカ代わりに利用して位置合わせを行う手法は,現実環境の景観を損ねることが無く,さらに設置や整備にかかる人的コストも削減できる. しかし,自然特徴点のマッチングによるカメラの位置姿勢では,トラッキング対象またはカメラの運動が大きくなったときに, マッチングのミスによる誤対応が生じ,カメラ位置姿勢推定誤差が大きくなる問題がある. 本研究では,平面テクスチャーをトラッキング対象とするテクスチャートラッキング手法に対して, トラッキング対象やカメラの運動が大きい場合にもロバストなカメラ位置姿勢推定を可能にすべく,高速度カメラへの適用を提案する. 高速度カメラからの入力に対応すべく,対応点探索処理の並列化を行い、100fpsでの実時間処理を実現した. その後,カメラを激しく動かす実験でトラッキングのロバスト性を評価し,どのような失敗原因が残っているのかを解析する. それらの失敗原因を修正していくことで,さらなるロバスト性の向上を実現する.