EMFを用いた遅延検出形伝送信号重畳衛星通信における16QAMの適用に関する研究

田中 翔 (0751072)


衛星通信の用途の増加に伴い,衛星通信の大容量化,高速化への対応が求められている. これに対し近年,静止衛星通信の通信容量を飛躍的に増大させる手法として、伝送信号重畳方式が検討されている. これまでに報告された論文から,QPSK において伝送信号重畳方式が有効であるということが報告されている. 通信容量を増大させるために,雑音に対して弱いと考えられる16QAM に対応した伝送信号重畳方式の検証を行うことは非常に重要であると考えられる. しかし,16QAM 伝送システムでの評価はまだ行われていない. そこで本研究では,所望信号の復調に与える影響が少ないと考えられるEMF(Extended Matched Filter)を用いた遅延検出方式を16QAM に適用することを提案する. その上で,QPSK 信号を用いた伝送信号重畳方式とのシステム性能の比較を行い,16QAM にも適用できることを示す. 16QAM 伝送システムの計算機シミュレーションにより,通信路が線形であると仮定すれば,CNR = 15dB で通常の信号伝送と比較した場合の劣化量が0.5dB であることが確認できた. 結果として,16QAM で信号重畳伝送を行った場合においても既存の通信システムに近いBER 特性を得られ,16QAM と同じBER 特性で16QAM の2 倍の容量を持つ256QAM 相当の伝送容量を得ることができると考えられる.