エバネッセント顕微鏡における三次元再構成法

鈴木 健太朗 (0751064)


エバネッセント顕微鏡(全反射蛍光顕微鏡)は全反射角以上の角度で光を入射した時に基板面上で生じるエバネッセント場を利用して、蛍光分子を励起する蛍光顕微鏡である。エバネッセント場の光強度が基板面から離れるに従って急激に減衰することを利用して、バックグラウンドを抑えて基板面近傍に存在する蛍光分子を観察する事が出来る。この特徴からエバネッセント顕微鏡は一分子イメージングの分野で利用されている。本研究では、エバネッセント顕微鏡で取得した複数の画像から蛍光分子の基板面からの距離を計測する三次元再構成法を開発した。従来の三次元再構成法での制約であったx-y平面上の同一点に分布する蛍光分子は高々1個であるという再構成アルゴリズム上の条件を検討し、この制約を受けずに2点分解可能な再構成アルゴリズムの開発に成功した。それにより、細胞内に存在する2本の交差するアクチンフィラメントの立体的な位置関係の解析に成功した。また、この2本のアクチンフィラメントの交差の無い領域において、従来手法と本手法を用いた再構成を行った。その結果と各手法の特性から従来手法に比べ本手法の方がノイズに対して強い事が確認できた。