本論文では,上記を実現するため,まず 安全確保のために歩行者検知が必要となる対象場面を特定し,指向性アンテナを用いた各地点における 歩行者の存在確率を求めるための確率モデル, 存在確率の重ね合わせの方法および推定した情報を車車間通信を用いてリアルタイムに交換する方法を提案する. 次に,車車間通信を用いて各歩行者の移動軌跡の 推定を行うプロトコルを提案する.
提案方式の有効性を評価するため,ネットワークシミュレータ QualNet にてシミュレーション実験を行った. その結果,車両が歩行者を検知してから実際に停止するまでの間に,同一歩行者のビーコン信号を 15 回以上受信可能であることが確認できた. 次に,受信ビーコン信号による測定結果を用いて歩行者位置を推定した結果, 車両1 台での測定誤差 10.68 メートルを,車車間通信を用いることで, 1.49 メートルに改善できた. また,歩行者の移動軌跡推定精度について, 歩行者の移動方向を運転者が十分に把握できる精度が得られることを確認できた.