動的ICAによる多変量ボラティリティの推定とその応用

近藤 祐和 (0751053)


 金融の分野では, 収益率の分散をボラティリティと呼び, ボラティリティを金融資産のリスク管理指標として利用している. そのため, 将来のボラティリティの値を予測することは重要である. またポートフォリオを構成する際には, 多変量ボラティリティを予測できることが望ましい. これまでにボラティリティを時変とした幾つかのモデルが提案されてきたが, これらのモデルは推定すべきパラメータの量が膨大になるため, 一般に多変量モデルへの拡張が困難であった.

 そこで本研究では, 多変量データの解析手法であるICA(独立成分分析)を用いた多変量ボラティリティの推定法を提案する. 株式収益率に対して, 最近提案されたVARMA-ICA法を適用することで未知入力システム同定を行い, 得られるパラメータから将来のボラティリティを推定する. またこのように推定されたボラティリティを用いた, 株式売買戦略を提案し, 実際の株式市場データを用いて提案法の有効性を確認する.