無線センサネットワークを用いたサッカーにおけるキック検出手法の提案
小島 一允 (0751050)
近年,サッカーの情報化が進展しており,今後の発展が期待されている.これまでのスポーツはビデオカメラを用いて外部から観測する,外部観測が一般的だった.しかし,外部観測では観測可能な対象の大きさに限界がある.また,観測対象の隠れにより観測できなくなるといった問題も発生する.一方,近年,センサの小型化と軽量化が進展するとともに,無線通信ネットワークの研究が盛んに行われている.そのため,様々な対象にセンサを組み込んで観測対象の状態を観測することができるようになってきた.このような,観測対象の状態を観測対象自体において観測することを本論文では内部観測と呼ぶ.そこで,本研究ではサッカーの試合の情報化にとって有用であり,また,外部観測では観測に限界がある局所的な現象であるキックに焦点を当てて,内部観測によるキック検出の課題に取り組む.実験の結果,内部観測によるキック検出においてボールへの運動強度が高い場合には,ボールの運動状態の変化に着目することが有効であることが明らかになった.これにより,内部観測によってボールといったスポーツの道具まで状態観測を行うことの有用性が明らかになった.また,内部観測だけによるスポーツの観測には限界があり,外部観測と組み合わせる必要性が明らかになった.