厳密線形化できないシステムに対する局所LQ最適性をもつ逆最適制御
瓦田遥 (0751040)
実際のシステムの多くは非線形システムであるが,非線形システムを直接取り
扱うことが難しいため,システムのモデルを線形近似し,制御則設計をすること
が多い.一般に利用されている線形化手法は,1 次近似線形化である.この手法は
殆どのシステムに適用できるが、非線形性の大きなシステムに利用することがで
きないという欠点をもつ.それに対して厳密線形化はシステムを厳密に線形化す
るため非線形性を考慮できる.しかし,3 次以上の系には必ずしも適用できると
は限らず,非線形性が不確かであるとき,原点近傍ですらロバスト性を持たない.
本研究では,非線形システムを対象とする制御則設計として提案されている,
厳密線形化できるシステムに対する局所LQ 最適性を有する大域的な安定化制御
則をとりあげる.この手法はロバストフィードバック線形化と制御Lyapunov 関
数を利用して制御則を設計しているため,厳密線形化できないシステムには適用で
きない.そこで,ロバストフィードバック線形化と1 次近似線形化の特徴を利用
し,LQ 最適性を有する逆最適制御則を厳密線形化できないシステムに拡張した
制御則を提案する.そして,厳密線形化できないシステムである倒立振子を対象
としてシミュレーションを行い,制御則の有効性を検証する.