マイクロリアクタの閉塞チャネル検出と閉塞率推定

鏑木 靖之 (0751034)


近年、マイクロリアクタと呼ばれる化学反応・分析装置の研究が盛んである。これはガラスや金属にマイクロオーダーのトンネル状チャネル(流路)を形成したデバイスであり、チャネル内に種々の流体を流して反応・分析を行うものである。マイクロリアクタはエネルギー的に非常に高効率な反応や、マクロな系では扱えない反応を制御できるため、マイクロリアクタを利用した工業的化学製品生産プロセスは次世代の生産プロセスとして期待されている。
マイクロリアクタは微細なチャネルを持つため、長期連続運転時には粒子の堆積や流路壁腐食による閉塞が発生しやすいと考えられる。閉塞はマイクロリアクタ内の流動状態を変化させ、製品品質に影響を与える。このため、マイクロリアクタを利用する化学プロセスでは、閉塞箇所の検出や閉塞の進行度を監視するシステムが必要である。
本研究では、あらかじめ用意しておいた閉塞発生時におけるセンサ情報と実測値をサポートベクターマシンにより照合し、閉塞発生チャネルを検出する閉塞チャネル検出法、およびマイクロリアクタ内部の圧力損失・物質収支に基づく圧力バランスモデルを利用し、実測値からプロセス内部の閉塞状態を推定する閉塞率推定法を考案し、シミュレーション実験により有効性を確認した。本発表にて結果を報告する。