Gaussian形状の点像分布関数を持つ光学顕微鏡像におけるデコンボリューション
加藤 健郎 (0751032)
光学顕微鏡は非接触,非侵襲で試料を観察できるという長所を持っている.しかしながら,焦点面以外からの光波によって生じる焦点ボケや光子ノイズの影響によって,観察像が劣化するという問題がある.そこで本研究では,観察像と光学系のインパルス応答である点像分布関数とから元の原像を推定する手法であるデコンボリューション法の改善に取り組んだ.一般的に,観察像は原像と点像分布関数の畳み込み積分として示すことができる.点像分布関数はエアリーディスクと呼ばれる明るい円の周りを,サイドローブと呼ばれる環状の構造が取り巻く形状を持っている.本研究では,このサイドローブがデコンボリューションに悪影響を与えているのではないかという点に着目した.そして,サイドローブを持たないGaussian形状の点像分布関数を光学的に実現することによって,サイドローブの影響を抑えることを提案し,デコンボリューションによる回復度の向上を目指した.シミュレーション実験によってGaussian形状の点像分布関数を実現した場合のデコンボリューションを検証し,デコンボリューション結果が向上することを確認した.
また,点像分布関数が未知である場合に観察像から原像と点像分布関数とを同時に推定する手法をブラインドデコンボリューション法と呼んでいるが,ブラインドデコンボリューションを行う際に,点像分布関数の形状がGaussianであるという制約を加えることでブラインドデコンボリューション法を改良した.元の点像分布関数がGaussian形状である場合には,改良したブラインドデコンボリューション法によって回復度の向上を達成することができた.