移動軌跡からの地点間関連性の自動推定とその応用に関する研究

岡田 和也 (0751028)


位置情報サービスでは,実世界での人や物,場所,Web上のコンテンツなどに対して位置情報を付与することで,情報サービスを提供している. 位置情報の利用によって,実世界の相対的な位置関係など地点の関連性に応じたサービスが実現可能になった. こうした地点の関連性は,実世界の物理的な距離や方位だけとは限らない. 往来する人が多い地点間や,観光地での巡回経路,交通機関などでの経路や沿線といった論理的な関連性も存在して広く活用されている. このように,実世界には物理的な距離に限定されない論理的な関連性がある. 論理的な関連性を得るためには,重要と思われる地点の特定と,地点とどの地点が関連するかを発見する必要がある. 離れた地点であっても関連性がある地点を把握することにより,地点や近傍だけに限定されないサービスを実現できる. 例えば,ある地点から繋がっている場所を推薦するサービスや,地点に繋がった場所の情報を提供するサービスなどが想定できる. こうしたサービスの実現には,地点間の関連構造を定義することが必要である. そこで,本論文では,地点間の関連性のデータ構造を得るための基礎データの自動収集に取り組む. あらゆる地点における関連性を得るためには,重要と思われる地点と,そこに関連する他の地点を推定する必要がある. この情報を大量に集めることで,広域における地点間の関連性のデータ構造を抽出できる. そこで,人の移動モデルに着目して,移動軌跡データのみから地点間の関連構造の取得について分析と考察を行なう. そして,移動軌跡から取得した地点間関連構造の応用を議論する.