障害管理システム利用時の修正遅延要因の分析

伊原 彰紀(0751012)


多くのソフトウェア開発プロジェクトでは,障害を一元管理するために障害管理システムを導入している.しかしながら,ソフトウェア開発の中でも特にオープンソースソフトウェア (OSS) 開発では,障害管理システムを利用しているにも関わらず,障害が報告されてから修正が完了するまでの時間(滞留時間)が極めて長い障害が数多く存在するという問題がある.特に,修正作業そのものにかかる時間だけではなく,修正作業に着手するまでに長い時間を要することが指摘されている.障害の滞留時間短縮支援を行うための第一歩として,修正作業着手までに長い時間を要する障害が発生する要因を明らかにすることが本研究の目的である.本論文では,障害の優先度及び重要度別に修正作業着手までの時間を分析する.また,障害報告数と修正作業着手までの時間との関係を分析する.ケーススタディとして,大規模なOSSを開発する2つのプロジェクト (Apache HTTP Server Project及びMozilla Firefox Project) の分析を行った.分析の結果,修正作業そのものにかかる時間は短いにも関わらず,修正に取り掛かるまでに多くの時間が費やされている障害が多いことが分かった.さらに,定期的に障害を修正する機会を設けることで,障害の滞留時間を短縮できる可能性があることが分かった.