今後,組込み機器はヘテロジニアスSMTプロセッサを用いる事が主流になると考えられる. そこでヘテロジニアスSMTプロセッサを短期間で評価,開発する環境が求められている. ヘテロジニアスSMTプロセッサは外部メモリへのアクセスがボトルネックになりやすいため, プロセッサの性能評価を行う場合,周辺回路や内部バスの影響をより正確に反映させる必要がある. 短期間でプロセッサの評価を行うために,今まではソフトウェアシミュレータによる評価が行われていた. しかし,内部バスや周辺回路の動作が正確なシミュレータを作ることは非常に難しく,動作速度も遅いため実用的ではない. 正確な評価を高速に行うにはシステム全体をハードウェアで実装しなければならないが,これには膨大な作業が必要となり,短期間での評価が行えない. そこで記憶階層を上手く利用することで,システム全体の挙動に影響を与えない範囲でハードウェアに必要な機能をソフトウェアシミュレータに実装することを提案する. 提案手法を用いる事でハードウェアに実装する機能を削減でき,全てをハードウェアに実装するよりも短期間でのプロセッサを評価できる. また,ソフトウェアシミュレータによる評価と比較して,提案手法では17倍以上高速にシミュレーションを実行でき,評価にかかる時間を短縮できることがわかった.