バグ票解析によるソフトウェア・ユーザビリティに関する問題の検出手法

石田 響子(0751008)


発表梗概

ソフトウェア開発では,ソフトウェアの個々の操作の結果などが定められた仕様に基づいて実装が行われる.しかしソフトウェアが利用される場面において,利用者が想定していた操作の結果と,仕様における操作の結果が異なる場合がある.そのためにソフトウェアのある操作の結果が,開発者にとっては正しい結果であるが,ユーザにとって不具合と認識されることがある.このような場面が多くみられるソフトウェアは,ユーザに対して使いにくい印象を与えてしまい,利用を敬遠される可能性がある.
本研究では,ユーザにとっては不具合と認識されたが,開発者にとっては障害でないと判断された案件を「非障害案件」と定義した.バグ管理システムにおけるユーザと開発者のやりとりを分析した結果,非障害案件と開発者の不具合への対応に関係があることが分かった.この結果に基づき,本研究では非障害案件を検出し,ユーザビリティに関する問題を解決するためのフレームワークを提案する.フレームワークでは,まずユーザビリティが重視されなかった期間を発見する.次に期間中に編集されたバグ票から非障害案件を検出し,非障害案件に適した対処を行うことで,ソフトウェアのユーザビリティを向上する.またこのフレームワークをソフトウェア開発に適用する際のシナリオを示す.