人の顔向きは人間の注意を表現する特徴量として有用である.このため,近年ス
テレオカメラ,および単眼カメラを用いて人間の顔を3次元的にトラッキングす
るシステムの構築が行われてきた.しかしながら,現状のシステムではカメラの
視野角の制限により,人間の自由な動きをサポートできないという問題がある.
そこで,本研究では従来の単眼トラッキングシステムを拡張し,複数台のカメラ
を利用することにより,計測範囲を拡大することを目的とする.複数台のカメラ
による観測から得られた特徴点を信頼度の情報を加味して統合し,顔の6軸の動
きを推定する.これにより,複数台のカメラにまたがるトラッキングをシームレ
スにつなぐことができ,結果として計測範囲の拡大することができる,単眼シス
テムを並列動作させた例に対しての優位性を示すため,比較実験を行い,その結
果を述べる.