屋内環境におけるモバイルプロジェクション型AR案内システム

永松 明(0651076)


近年,ユーザの位置・姿勢に応じて現実空間に案内情報を重畳表示するウェアラブル拡張現実感(AR)に関する研究が盛んに行われており, その応用例の一つとしてAR観光案内システムが挙げられる. 従来,このような案内システムでは表示装置として PDAのようなハンドヘルドディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD),プロジェクタ等が用いられている. ハンドヘルドディスプレイやHMDは個々のユーザに適した案内情報を個別に提示可能であるのに対し, プロジェクタは現実空間に直接投影するため複数人で同じ案内情報を同時に共有可能である. 複数人で行動することが多い観光地における案内などでは,ユーザが情報を共有できることが利点となる. そのため,本研究ではハンドヘルドプロジェクタを用いて博物館等の屋内環境で利用できるAR案内システムを提案する. このようなシステムを実現するには,広域環境において高精度にプロジェクタの位置・姿勢を推定する必要があるため, 不可視マーカと赤外線カメラを用いた位置・姿勢推定システムをハンドヘルドプロジェクタに装着することで, AR案内システムを実現する. ユーザは環境内を歩き回りながら壁や床などに投影された案内情報を見ることで,複数人で同時に案内情報を得ることが可能となる. さらに,2台のプロジェクタと偏光メガネを用いることにより, 情報を投影面以外の3次元空間中に立体的に提示する機能を実現することで,より直感的な情報提示を可能とする.