Anthocyaninにおける生物種特異的な化学置換パターンの推定法

草場 亮 (0651154)


本研究は、アントシアニンを基本骨格にもつ代謝物から生物種固有の代謝物(アントシアニン類と呼ぶ)を検出することが目標である。生物種固有の代謝物を検出する方法として、化学構造による代謝物の分類をもとに (i)全体の代謝物とそれぞれの生物種における代謝物の比較、および (ii)二群の生物種間における代謝物の比較、の2通りの方法が考えられる。前者の全体の代謝物とそれぞれの生物種における代謝物の比較においては、多くのアントシアニン類の構造決定がされている生物ほど全体の代謝物に対する割合が増加することにより、アントシアニン類における多様性が評価されにくいという欠点がある。全ての生物におけるアントシアニン類の構造決定がなされている訳ではなく、生物種によって報告されているアントシアニン類の数はむしろ研究の進捗に異存する。そこで、各生物において構造決定されたサンプル数の影響を出来る限り除去する目的で、本解析では、(ii)二群の生物種間における代謝物の比較を行うこととした。はじめに、アントシアニン類の化学置換を2値であらわすことにした。また、代謝物の置換パターンをもとに対象とする2群生物種グループを推定する線形モデル式をPLS法により構築することにより、生物種固有の代謝物の順位付けを行った。399 種のアントシアニン化合物群をもとに、目レベルにおける特異的な化学置換パターンをえることができた。これらの化合物のアントシアニンアシル基転移酵素に焦点にあてた代謝経路上で特異性についても議論した。