タイリングアレイ情報に基づく枯草菌のRNAポリメラーゼシグマサブユニットSigAの結合配列の推定

木浦 義明 (0651153)


近年、全塩基配列が決定される微生物ゲノムは急激に数を増している。2007年末の段階で約600種類の微生物ゲノムが解読されており、詳細なゲノム解析が可能となってきた。その中でも、ゲノムから転写領域を正確に予測し、遺伝子の転写、制御に関するシステムを理解することは重要な課題の1つとなっている。枯草菌のRNAポリメラーゼシグマサブユニットSigA の結合配列に関してはこれまでに-35や-10、extended-10といったコンセンサス配列が報告されているが、多くの変異が起きているにも関わらず結合している部位や、少数の変異しか起きていないにも関わらず結合が報告されていない部位が存在するため、SigA またはSigA と結合しているRNA ポリメラーゼ複合体はこれらの配列だけではなく、他の配列も認識に使用していると考えられる。本研究では、近年登場したChIP-on-chip法の実験データを解析することにより、SigAが認識する領域の配列的特徴を特定することを試みた。ChIP-on-chipの実験結果からSigAが結合すると予測される領域及びその上流の領域を抽出し、任意配列の頻度解析を行った。さらに、検出された配列に対してコンセンサス配列との位置関係を考慮した解析を行い、SigAが認識する新規モチーフ配列を特定した。