TRPM8 はメントール・冷刺激に応答するTRPファミリーの陽イオンチャネルである。まず、FRETによって生体内でのTRPM8の四次構造解析を行った。 FRETは1-10nmのタンパク質相互作用を検出できる技術である。実験の結果、TRPM8がC末端領域で四量体形成を行うことを明らかにした。さらに立体構造予測の結果、TRPM8の四量体形成にはCoiled-Coil構造が必要という仮説を立てた。
次に、FCSを用いてTRPM8の膜上でのダイナミクスを解析した。その結果、TRPM8のモノマーはテトラマーに比べ約1.5倍早く拡散することが分かり、四次構造の違いを反映した結果が得られた。今後、TRPM8の機能と構造・ダイナミクスの相関関係を明らかにすることが期待される。