FRET/FCSを利用した冷イオンチャネルTRPM8の構造・ダイナミクスに関する研究

池原 辰弥 (0651152)


近年、タンパク質の機能と構造・ダイナミクスを関連づけながらプロテオミクス解析を行う事が必要とされている。しかしながら、細胞膜に局在する膜タンパク質は疎水的性質のため精製・結晶化が難しく、構造解析が進んでいない。一方、近年の顕微鏡計測技術の発展によって、タンパク質の構造・ダイナミクス解析が盛んに行われている。そこで、本研究では蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)や蛍光相関分光法(FCS)といった顕微鏡計測技術を用いて冷イオンチャネルTRPM8の構造・ダイナミクス解析を試みた。

 TRPM8 はメントール・冷刺激に応答するTRPファミリーの陽イオンチャネルである。まず、FRETによって生体内でのTRPM8の四次構造解析を行った。 FRETは1-10nmのタンパク質相互作用を検出できる技術である。実験の結果、TRPM8がC末端領域で四量体形成を行うことを明らかにした。さらに立体構造予測の結果、TRPM8の四量体形成にはCoiled-Coil構造が必要という仮説を立てた。

 次に、FCSを用いてTRPM8の膜上でのダイナミクスを解析した。その結果、TRPM8のモノマーはテトラマーに比べ約1.5倍早く拡散することが分かり、四次構造の違いを反映した結果が得られた。今後、TRPM8の機能と構造・ダイナミクスの相関関係を明らかにすることが期待される。