ソフトウェア開発工数予測におけるメトリクス間の関係に着目した特異プロジェクト除去法

渡邊瑞穂 (0651146)


ソフトウェア開発プロジェクトのメトリクス(開発規模,開発期間など)を説明変数とし,開発工数を目的変数とする工数予測モデルが開発現場で用いられている. ただし,モデル構築に用いるデータセットに外れ値(特異プロジェクト)が含まれる場合,性能の良いモデルが構築できないことが課題であった. 与えられたデータサンプルに対し,集団から外れた個体を検出し,除去する手法(外れ値除去法) は従来提案されているが, 外れ値として検出された個体は ソフトウェア開発者にとって特異であると判断された プロジェクトとは限らず,工数予測への効果も明らかでない.

本論文では, ソフトウェア開発者の視点 に立った 特異プロジェクト除去法を2つ提案する. 1つ目の手法は,開発規模と開発工数の関係が特異なプロジェクトを除去する手法である. もう1つの手法は,開発規模と開発期間の関係が特異なプロジェクトを除去する手法である. ソフトウェア開発企業で収集された3種類のデータを用いた評価実験の結果,提案手法は従来手法や特異プロジェクトを除去しない場合と比べて予測精度を改善することができた. さらに,除去すべき特異プロジェクトの件数を決定する方法を提案し, その効果を実験により示した.