遅延と確率的報酬獲得に関わる行動とそのメカニズムの研究

吉田岳彦 (0651144)


 人の選択行動は社会への影響を調べたり、心を理解するためにと、様々な分野で長年研究されてきた。特に経済学では行動の合理性に関して長く議論されており、様々な確率と報酬量で設定された選択課題において、人は単に報酬の期待値をあげる合理的な選択をするわけではないことがわかっている。例えば、少々利得は少なくともリスクの少ない選択をする傾向があるや、また、遅延による報酬の価値の減少が上げられる。それらの状況に関する研究は独立に研究されてきたが、近年それぞれの行動に見られる特徴が似通っていることが知られてきた。これはそれぞれの脳内における情報処理過程が全くの独立なものではなく何らかの相互作用を伴っていることを連想させる。

本研究ではそのような遅延と確率報酬選択が共にある環境を想定しfMRI装置を用いて脳内で、どの様な情報処理が行われているかについて調べた。その結果、確率と遅延時間に対する処理系統は島皮質で結ばれることがわかった。