ホームネットワークシステムにおける音声と視線を用いた複合的操作インタフェースの提案

湯浅直弘 (0651140)


様々な家電製品をネットワークに接続し,付加価値サービスを提供するホーム ネットワークシステム(HNS) が注目されている.現在,いくつかの製品やサービ スが製品化されており,今後さらに多くの新たな機器や高度なサービスが提供さ れると考えられている.HNS では多様な機器が偏在的に存在するため,音声制御 や視線制御といった従来のリモコンに代わる新たなユーザインタフェースの実用 化が期待されている.しかし,音声認識を用いた操作では,操作対象機器の種類 が増えると認識率が低下する問題がある.一方,視線では複雑な操作が出来ない という限界がある.そこで,本論文では,音声認識と視線情報を組み合わせた, 新たなHNS 家電機器操作インタフェースを提案する.提案手法では,ユーザが 操作したい機器を注視することで操作対象の機器を選択し,操作コマンドを発話 することで操作を行う.音声認識の認識精度を向上するため,視線で選択した家 電に最適な音声認識モデルを動的に再構築する手法を採用している.これにより, 音声認識のみの操作方式と比べ,より複雑な操作を正確に行うことができる.ま た本論文では,提案手法に基づいてシステムの実装を行い,評価実験を行った. 実験により,視線と音声を組み合わせた提案方式は,音声のみの操作方式に比べ て約20% 音声認識率が向上していること,また,雑音環境においても性能劣化 が少ないことがわかった.