マイクロリアクタのチャネル閉塞検出法
山本リサ (0651137)
近年、化学製品の生産技術としてマイクロリアクタが注目されている。マイクロリアクタは、
高速混合、精密な温度制御、反応時間の制御が容易にできるという特長を持ち、高付加価値な
製品生産が出来ると期待されている。このマイクロリアクタを実用化するにあたって克服しな
ければいけない課題の一つに閉塞問題がある。閉塞を防止、検出するシステムを開発することは、
マイクロ化学プロセスを長期的に安定、かつ効率的に運転させるために必須である。マイクロ
チップの開発やマイクロリアクタ内の化学反応系については盛んに研究されているが、この
ような運転制御システムの開発はまだ発展途上である。これらの研究では、マイクロリアクタ内
の挙動を知る手段として、高精度なシミュレーションが行える数値流体解析が有効であることが
知られている。しかし数値流体解析は一回のシミュレーションに膨大な時間を要するため、
あらゆる場面で有効とは限らない。本論文では運転制御システムの開発として、マイクロリアクタ
を対象に簡易的な圧力バランスモデルを用いたチャネル閉塞検出法と閉塞率推定法を提案する。
提案手法では簡易マイクロリアクタモデルを利用してチャネル閉塞時の圧力分布データを収集し、
実測データと比較することで閉塞チャネルを特定する。シミュレーションの結果、設置センサ数が
少なくても閉塞率30\%まで高精度な閉塞検出が可能であることが確認できた。また閉塞を検出した
チャネルでの閉塞率推定でも精度の高い推定が出来ることを確認した。