磁化率強調画像における静脈描出能の静磁場方向に対する角度依存性の検証

山内 智博 (0651130)


磁化率強調画像(Susceptibility Weighted Imaging)とは、組織の磁場感受性を強調して画像化する手法で、静脈血管内の常磁性体である還元ヘモグロビンが周辺組織に与える磁場の変化を鋭敏にとらえ、微小な静脈を描出する応用研究が行われ,静脈奇形や微小出血の検出,出血性脳梗塞の早期診断に役立つ可能性があることが報告されている.[1]しかし、この静脈検出能は磁場に対する幾何学的な位置に強く依存するが、その影響は考慮されていない。静脈を円柱状と仮定した際,静磁場方向に対する長軸方向の角度により磁化率が変わることは理論的に明らかであるが,磁化率強調画像に与える直接の影響を定量的に検討した報告は少ない.
 本研究は,磁化率強調画像上において静脈描出能の静磁場に対する角度依存性を検討することを目的とした.血管を模擬した極細ガラス管を使用し, ガラス管の静磁場に対する角度が磁化率強調画像へ与える影響を検討した.理論式における角度依存性をGradientEcho(GRE)強度画像において概ね一致することを確認し,さらに磁化率強調画像では角度が直交するにつれ強調度が上昇することを定量的に示した。 次に健常ラットにおいてファントム実験の検証を行い、ガラス管による定量的模擬実験の結果を支持することを確認した。