指とボールの接触モデルを用いたロボットハンドによる投球動作の実現

森 渉 (0651128)


本研究では人間の動的なマニピュレーションとして投球動作を取り上げ, ロボットハンドにより目標の速さ, 方向, 回転速度での投球を実現することを目標とする.

まず人間の投球時の手指の運動を模した指とボールの接触モデルを提案し, 投球動作を腹モデル, 指先モデルの2つのダイナミクスの切り替えを有する 劣駆動系の制御としてモデル化する. つづいてシミュレーションにより, 1自由度の関節トルク入力に よる実現可能な投球範囲を示し, ボールの速さ, 方向, 回転速度の独立な投 げ分けの可能性について考察する. そして目標のボールの投球を実現するための目標関節トルクを シミュレーションにより探索することによって獲得する方法について述べる.また, 水平面内での実機実験を行うために作成した 1自由度のスイングアーム機構をもつ投球マニピュレータの構成と制御方法 について説明し, 投球された円盤の速さ, 方向, 回転速度を計測するための画像処理のアルゴリ ズムについて述べる. 最後に実機による検証実験を行った結果について報告し, モデルの正当性, 速さ, 方向, 回転速度の投げ分け可能性を示す.