超音波断層像の方向依存性を考慮した超音波診断訓練システム

箕岡 武志 (0651123)


超音波画像の診断技術習得には多くの経験が必要とされており,効率のよい訓練手段として超音波シミュレータが提案されている.しかし,従来のシステムでは,超音波断層像の方向依存性が考慮されていなかったため,訓練者に提示される断層像にアーチファクトや内部構造の影響が正しく反映されないという問題があった.本論文では,超音波断層像の方向依存性に着目し,訓練者が操作する超音波探触子型デバイスの姿勢に応じて断層像を生成する超音波診断訓練システムを提案する.提案システムでは,まず,あらかじめ撮影された多数の断層像を三次元空間にマッピングすることにより三次元ボリュームを構成する.次に,超音波探触子型デバイスの姿勢より再構成する断層面を決定し,再構成断層面に対応する三次元ボリューム中のボクセルを参照することにより断層像を生成し訓練者に提示する.各ボクセルに,方向により異なる超音波の反射特性を与えることにより,超音波断層像の方向依存性を再現する.実験では,アーチファクトを含んだ対象を計測し,超音波探触子の姿勢による断層像の輝度値増強や虚像の変化が再現されることを確認する.