MRIによる冠動脈検査に向けた静止相の自動決定

丸山 耕輔 (0651119)


 現在,心臓冠動脈検査の主流はCTを用いたX線冠動脈造影(CTA)である.しかし,CTには放射線被曝と造影剤による副作用の問題が避けられない.そこで,被曝がなく造影剤も必要としない,MRIを用いた磁気共鳴冠動脈造影(MRCA)に期待が寄せられている.しかしながら,心臓の収縮拡張によって冠動脈が動くことにより,MRIによるデータ収集は一般に拡張終末期と呼ばれる時相に制限される.この拡張終末期に存在する時相を静止相と呼ぶが,現在この静止相は技師の視認により決定されているため非常に主観的で,多くの経験が必要とされている.これまでの研究により,静止相の決定には右冠動脈付近を関心領域と設定することが有用であると報告されているが,閾値や関心領域を手動で設定しなければならない問題がある.

 本研究では,自動で静止相を決定する手法を提案した.提案手法ではまず,MRIより得られた心臓シネ画像より変化領域を抽出し,心筋以外を取り除き,心臓形状を正規化する.次に,相互相関法を用いて関心領域を自動設定し,画像間のフレーム間差分を求め静止相を自動決定する.臨床応用に向け,提案手法を被験者4名に対して適用した結果について報告する.