拡張現実感のための可動部をもつ物体のモデルベーストラッキング
堀 元 (0651108)
拡張現実感において仮想物体と現実空間との正しい位置合わせは
必須要件であり,盛んに研究が行われてきた.
実物体の形状やテクスチャを3次元モデルとして保持し,
マーカ代わりに用いることでトラッキングを実現する
モデルベーストラッキング手法は,トラッキング対象に
インフラを取り付ける必要がないという利点がある.
しかし,従来のモデルベーストラッキング
では剛体モデルを前提としているため,
可動部をもつ物体に対してそのまま手法を適用することは困難である.
本発表では,可動部をもつ物体を複数の剛体として取り扱い,
剛体間の相対位置および姿勢に制限条件を与えることで3次元位置および姿勢と
可動部の状態を同時に推定するモデルベーストラッキング手法を提案する.
提案手法ではまず,剛体ごとに作成された3次元モデルを同時にレンダリング
することで,可動部をもつ物体のあらゆる動きと変形を画像上で再現する.
次に,対象物体のエッジがそれぞれどの剛体に
属しているのかを識別して保持することで,
可動部の動きと物体全体の動きを分けて分析し,
物体全体の3次元位置および姿勢のパラメータと可動部の状態を表すパラメータを決定する.
実験では,トラッキング対象の3次元モデルに対するトラッキングシミュレーション
による3次元位置および姿勢推定の精度評価によって,提案手法の有効性を確認する.